全盲みくりの黄色い道しるべ

中途障害で全盲に生まれ変わったみくりの日常をつづります。視覚障害者と晴眼者がつながる道しるべとなりますように☆

◆見えないからこそスマホを使う

私はロービジョンの頃からiPhoneユーザーで、全盲になった今でもとても便利に使っています。
視覚障害者がスマホを使うって想像つきますか?
実は、視覚障害があるからこそスマホを使う理由があるんです。

全盲でもスマホが使えるの!?

これ、私が全盲になった時に思ったことなんですよ。
だって、スマホにはほとんどボタンがないし、操作するたびに画面のレイアウトは変わっちゃうし、手探りでは操作できないじゃないですか。。
でもガラケーなら、ボタンの場所や押す回数を覚えれば操作できそうな感じしますよね?
全盲になった当初はスマホの読み上げ機能を知らなくて、読み上げ機能のあるガラケーに変えなきゃダメなのかな、スマホと違ってできること限られちゃうなぁとがっかりしました。
実際は全然そんなことなくて、今やiPhoneを手放せなくなりました。

スマホはアクセシビリティが豊富

最近よく聞かれるようになってきた『アクセシビリティ』という言葉を知っていますか?
アクセシビリティは”アクセスしやすい””利用しやすい”という意味で、誰もがどんな環境でも使いやすくするための機能のことをいうそうです。
仕事中はマナーモードにして振動や光で着信を確認するとか、手が離せないからスピーカーで通話するというような、昔からあるこういった機能もアクセシビリティの1つです。
スマホはこのようなアクセシビリティが豊富で、高齢者や障碍者にもより使いやすいものになってるんです。

視覚障害者に便利なアクセシビリティ

スマホには視覚をサポートするアクセシビリティが初期装備されているので、設定を変更するだけですぐに使えます。
ここでは、私が使用しているiPhoneの機能を中心に、代表的なアクセシビリティを紹介しますね。

・AIアシスタント
iPhoneならSiri、AndroidならGoogleアシスタントですね。
私が全盲になったばかりの頃、スマホを使うために最初に覚えたのがSiriです。
何でもできるわけではないですが、話しかけるだけで電話したり、アラームを設定したりしてくれるのでとても便利です。

・読み上げ機能
iPhoneならVoiceOver、AndroidならTalkBackになります。
画面の文字を読み上げたり、操作内容を音声で教えてくれたりするので、それを聞きながら操作します。
私がiPhoneを操作できているのはこの読み上げ機能のお陰です。

・ズーム
晴眼者でも、文字サイズを大きくしたり太くしたりすることがあると思います。
それでも見えにくい時には、ズーム機能をONにすると画面を15倍まで拡大して表示することができるんです。
私もロービジョンの頃によく使っていました。

・拡大鏡
これはズームと違い、スマホ自体が拡大鏡になるというものです。
見たいものをカメラに写して、拡大したり見やすいコントラストに調整したりしてスマホの画面に表示させるんですね。
私は普通のカメラアプリでピンチアウト(つまんだ指を広げる動き)で拡大させることしかしたことありませんが、拡大倍率が足りないこともあったので、知ってたら便利だっただろうなと思います。

・色反転
一般的に、白背景に黒文字の表示が多いと思いますが、それを黒背景に白文字へ色を反転させるというものです。
最近ではダークモードといって、黒を基調にした表示へ変更できるアプリも増えていますね。
ロービジョンの場合、コントラストをはっきりさせると文字が読みやすくなったり、羞明で画面がまぶしく感じる人や画面に顔を近づけて観る人には疲れにくくもなります。

・色んな文字入力の方法
画面をタップすることが難しくても、音声入力や点字入力、Bluetooth接続したキーボードで入力するといった方法があります。
誤字は多いですが、音声入力は早くて便利ですね。

視覚障害を助けるアプリがいっぱい

晴眼者も同じだと思いますが、スマホが便利な理由にはアプリの存在も大きいですね。
その中に、視覚をサポートするアプリがたくさんあるんですよ。
例えば、カメラをかざすと色を教えてくれたり、お札の識別をしてくれたりします。
カメラで写した文字を音声化してくれて、何が書いてあるか自分で把握することもできるんです。
あとは、リンクが多くて複雑なウェブサイトが、アプリになるとレイアウトが整理されて使いやすいっていうこともありますね。
便利なアプリについては、また別の記事で書きたいと思っています。

まとめ

視覚障害者のスマホ利用、何となく想像できましたか?
「白杖を使ってるのに、目が見えないのにスマホを使ってるなんて、見えないフリしてるんじゃないのか!」と、心ない言葉で傷つけられたという、視覚障害者の話を聞いたことがあります。
これって、知らないだけなんですよね。
視覚障害者にとってスマホが便利なツールであること、もっとたくさんの人に知ってもらいたいですね。