全盲みくりの黄色い道しるべ

中途障害で全盲に生まれ変わったみくりの日常をつづります。視覚障害者と晴眼者がつながる道しるべとなりますように☆

◆全盲の私が見ているもの

「全盲の人の視界って真っ暗なの?」
何度か聴かれたことがあるので、気になる方は多いのではないでしょうか。
今の私の見え方はどんな風なのかお伝えしてみようと思います。

全盲は灰色の世界

光を感じない全盲になる少し前、文字は全くわからないけど、電気の形がわかるくらい見えていた時がありました。
手動弁から光覚辨の頃ですね。
その頃は電気を目印にして歩くことができて、光を遮られたことで障害物に気付けたり、ぼんやりと形がわかったりすることもありました。

わずかにしか光を感じなくなってからは、目を閉じた時と似ていました。
目を閉じていても、まぶた越しに明るさって感じますよね。
何の影も形も見えないけれど、そんな風に何となく明るさを感じていました。
電気がついてるとか、家の中から天気がわかるとか、ちょっとした手掛かりになってましたね。

そして、光を全く感じなくなった今、見えているのは灰色の空間。
その灰色は天気が良いのに暗く感じたり、寝る前の真っ暗な部屋で白っぽくなったり。
なぜか色の濃さが変わるんですけど、その場の明るさとは関係ないので何の手掛かりにもなりません。
視覚障害を疑似体験する時には、よくアイマスクが使われますよね。
アイマスクを付けたみたいに真っ暗ではないけれど、何も見えていないので同じような感じですね。

全盲は想像の世界

私の場合、先天性の全盲ではありません。
小学生まではただの近視で、2年前までは0.4の視力がありました。
身の回りの物の形を見たことがあるし、今住んでる家も職場までの風景も知っています。
だから、何か触ったり音を聴いたりすると、風景や物の形が想像で浮かんでくるんですよ。
視覚的には見えていないのに、見えているような感じがするんですよね。

寝る前に翌日のことを想像するのに似ているかもしれません。
明日はどの服を着ようかな?と組み合わせを考えて、その服を着た自分の姿を想像することはありませんか?
外出先までのルートをシュミレーションして、どんな風景でどんなお店があったか思い浮かべることはありませんか?
全盲になってからは、常にこれをやっているような感じなんですよね。

想像で見える世界

目にしたことがあるものばかりの身近な風景は想像しやすいですが、見たことのないものはどうでしょう。
テーマパークのような非日常の空間、旅行先のきれいな景色などは想像がつきにくいんですよね。
こんな時は、小説の場面を想像するように、一緒に行った人の説明を聞いて想像するんですけど、見ているものを説明するってなかなか難しい。。

全盲になったばかりの頃は、景色の良いところに出掛ける楽しみがなくなったなぁと落ち込みました。
でも、情報があれば想像できる、想像次第で素敵な世界も見えるって気づいた時、どうしたら想像しやすい情報が得られるのだろうと考えるのが楽しくなってきました。
最近はどうやったら想像しやすいかわかってきて、自分で色々聞くようになりました。
「水の音がするけど川があるの?幅はどれくらい?滝もある?どの辺か指ささせて。」
「山があるの?どこからどこまでか、私の手で山の形なぞって。」
「前に行った○○の景色に似てる?」
時には体を使いながら教えてもらいます。
そして、今までに観たことがある風景や映像、写真などの記憶を組み合わせて、どんどん想像を膨らませていきます。
もしかしたら、目の前の景色よりも素敵な景色を想像しているかもしれませんよ。

全盲だから何も見えないけど、創造で世界が見えている。
見えないことを否定して見ようとしているわけではなくて、今は世界を想像して見ることを楽しんでいるんです。
私はこんな風に感じてるけれど、他の全盲の方はどんな風にみえているのかな?
病気とか見えなくなった時期によって、きっと見てるものは違うと思うんですよね。
よかったら、コメントで教えてもらえると嬉しいです♪